【スイス留学チェリスト】チェロの練習方法や本番のルーティンなどをお聞きしました![アーティストインタビュー Vol.5] 大熊 勇希
「音楽で日本を盛り上げる」というミッションのもと、SHAREMUSICA運営チームが毎月行うアーティストインタビューの第五回を、2024年11月1日に行いました。
今回協力いただいたアーティストは、京都市立芸術大学やスイス国立チューリッヒ芸術大学大学院修了卒業し、チェリストとして活躍する「大熊 勇希」さんです。
大熊さんには、SHAREMUSICAから演奏依頼していただけます!
Youtubeでは大熊さんの演奏と一緒にインタビュー全編を見ることができるので、是非ご覧ください!
経歴について
―― はじめに、自己紹介と経歴について聞かせてください。
チェロを弾いています、大熊 勇希です。
京都市立芸術大学を卒業後、スイス国立チューリッヒ芸術大学大学院を卒業しました。
大熊さんのコンクール歴について
―― ありがとうございます。コンクール歴とかもぜひお聞きしたいのですが…
あまり受けてないんですけど、高校生の時に関西弦楽コンクールで優秀賞、大学の時にあおにおしコンクールの第2回で音大生の部で1位をいただきました。
チェロを始めたきっかけ
―― チェロを始めたきっかけとかあったんですか?
母がピアノの先生をしていて、その生徒さんでチェロをやってる男の子がいて。
僕はヴァイオリンをやりたいと思ってたんですけど、
チェロを弾けたらヴァイオリンもできるみたいなことを親に言われたから、チェロをやってみようと思ったのがきっかけです。
チェロの音が好きになって始めました。10歳の時です。
憧れの人
―― ありがとうございます。憧れていた人や好きな演奏者はいますか?
一番最初の先生に一番憧れてたっていうか、今も尊敬してる先生なんですけど
2年だけ習って、その後、実は病気(癌) で亡くなった先生なんです。
今でもその先生のことをすごい覚えてて、延命よりも薬飲んで生徒にレッスンするっていう先生でした。
本当に最後の最後までレッスンしてくださって、また「来週」みたいに言ってた時に、
ふともしかしたら「最後かも」と…子供ながら、その時小学校6年生の時にすごい覚えてて、
その後数日に亡くなったんですけど、その信念持ってやってる姿にすごい憧れて、今も自分もその先生みたいになれたらいいなっていうのはあります。
杉山實先生という方です。
使用している楽器について
―― 使用してる楽器についてお聞きしたいんですけど、何年に作られて、どこの国など…
1914年ドイツで作られたホルンシュタイナーの楽器ですね。
その当時はある意味量産型の楽器だったんですけど、これは多分工房の人が手で作ったやつで、一応ストラディバリウスをモデルにして作られた楽器だから結構シャープな楽器っていう感じですね。
―― その(弦についている)金色のものはなんですか?
これはウルフキラーといって、チェロはミとかファとかのところでウルフが鳴るんですけど、それをなくすものです。
※ ウルフ:特定の音を出したときに悪い共鳴を起こして震えるような妙な音が出ること
色んな場所でつけるんですけど、今僕ここが丁度良くてっていうか、ここら辺につけるとC線がすごい強く鳴ります。
たまたま上の方につけるとこうなったから(笑)良い位置なのかと(笑)
チェロのおすすめ練習方法①
―― 練習の方法についてお聞きしたいんですけど、日頃どのような練習をしてますか?
練習って本当に目の前の本番に向けた感じの練習になっちゃうから、自分に対しての練習方法を最近は考えてて、やっぱり音階とかも大事だと思います。
よく僕、仕事でレッスンすることが多いんですけど、やっぱり音階の大事さが分かってきて。
だからちょっとでも朝早く起きて音階弾くとかにして、ただ音を鳴らして音程を合わすだけではなくて
(手の)形をすごく今意識していて、この調になったらこの形というのを、瞬時に頭で形作れるようにしていくのを、頑張ってます。
―― なるほど、ありがとうございます!
チェロのおすすめ練習方法②
―― 他にみんなにおすすめの練習方法はありますか?
最近は消しゴムをここ(右手)に乗せて弾くとかをやっていて
手首が柔らかく……
本当に生徒に対して言ってるんですけど、子供とかはぐちゃぐちゃでやっちゃうから、消しゴムを落とさないようにまっすぐ弾くのをおすすめしています。
消しゴムを落とさないようにするから、(右手の)小指が離れてくる。
弓先の時は小指いらないって言い方あれですけど、離した方が(弓が)まっすぐ行くから、そういうのとかも勝手に分かってくれます。
あとは移弦の時とかも、消しゴムを乗せてするとくっついたまま(移弦が)いけるから
移弦が多い時に(消しゴムを使用して)角度の確認とかしてるかなっていう感じですね。
消しゴムおすすめです(笑)
緊張について
―― 緊張とかってされますか?
めっちゃしますね。もう今もめっちゃ緊張してます(笑)
―― (笑)緊張した時はどうしていますか?
緊張した時はより自分の音をめっちゃ聞くようにしています。
変に入り込みすぎると、怖いっていうか、いつもの感覚と違ったりする部分があったりするんですけど
でも、できるだけ自分の音を聞くのと、
最近はホールとか会場によって大きさが違うから、ホールの空気を出し入れするっていうのを意識しながらやると、自分の中では緊張が解けてきて、普段の感じでいけるかなって感じですね。
子供達や演奏家を目指す方に向けたメッセージ
―― 子供達や演奏家を目指す方に向けたメッセージやアドバイスをお願いします
子どもたちはチェロに限らず、楽器を始めるんだったら、本当に自分を表現できるものに出会ってほしいなって思います。
最初のうちは僕もピアノとかも、兄や、母がピアノの先生だからピアノやってたところもあったし、
嫌いでもないし、好きでも…好きではあったんですけど、なかなかうまく、やっぱり自分が弾けなくて。
チェロと出会って、チェロをやってるうちに、チェロが本当に好きで、いろんな表現を音に乗せて、考えるようになったかなって思います。
楽器を始めてもらえたら、続けてもらえたらいいなと思います。
音大生に関しては…
僕、スイスに留学していた時にすごい良かったな、勉強になったなと思ったのは、
大学院の時にコースが4つくらいあって、
「演奏家コース」と「ソリストコース」と「オーケストラコース」と「教育コース」があったんですけど、
僕がすごい印象に残ったのが、教育コースの方で、僕は行ってないんですけど、見学していて
その生徒さんは音楽教室の方に配属になって、個人生徒を持つんですね、レッスンで。
何人か(生徒を)持ったら、試験では試験監がいて、レッスン風景を見られて評価されるのがあって、すごいめっちゃ充実しているなって、教えることに関してもちゃんと制度ができてるんだなと思って。
さっき、憧れてた人の話で、将来教えることをやっていきたいなと思ってたんですけど、やっぱり大学入ってオーケストラ入るとか、そういう雰囲気につられてというか、演奏家で生きていかなきゃってのはすごい強かったんですけど、
ふとこう…いろいろ見てきて、やっぱり自分がやりたいことは本当に教えるっていうか、次に繋げていくことが好きなんだなと思って。
だから自分はその教育系コースは行かなかったんですけど、やっぱりそれくらい大事にされてることでもあるから、
音大行って、自分のやりたいことを自分で見つけていくっていうのをやっててほしいなって思いました。
―― 素敵なメッセージをありがとうございます!
大熊さん、この度はインタビューに真摯にお答えいただき、誠にありがとうございました。
大熊さんの素晴らしい音楽観やお考えに触れることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
これからのさらなるご活躍を、心よりお祈りしています。
また機会がありましたら、ぜひお話をお聞かせください。応援しています!
この記事でご紹介できなかった部分に関しては、Youtubeインタビュー動画の方でご紹介しています。
もし良ければ、ご覧ください!
▼次回
【東京藝大出身】クラリネット練習方法や緊張した時の対処法について解説。クラリネッティスト 福井喬文 [アーティストインタビュー Vol.6]
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